« 買い物ログ:2006年4月 | メイン | 大神 クリア後レビュー(ネタバレなし) »

2006年05月11日

マザー3クリア後感想(途中からネタバレ)

自分のやりたかったマザーとは違うゲームでした。残念。

自分にとってのマザーらしさって、現代っぽい舞台に、ファンタジーRPGの仕組みを強引(ユーモアを含めて)に翻訳して入れたところだったり、「オトナにはわかってもらえないから子供ががんばる」だったり、「少しずつ成長して遠く(隣の町とか)に行けるようになる」だったり、テレポートの爽快感だったり、テレポート失敗の黒焦げ感だったり、ボーイミーツガールだったりした訳だけど(他にもいっぱいあるけど)、そう言う要素はほとんどなかった。
残ってたのは、糸井テキストとでも言うべきテキスト群だけど、これも……どうだろうか。1や2を記憶の中で美化しちゃってたのかなあ。

何よりつらかったのは、キャラの描写の薄さ。大したやりとりもなかったキャラクターがいきなりドラマのクライマックスを演じて、「さあ泣いて」といわれてもそれはキツイ。この辺は章立ての構成で、章毎に主人公が変わるせいもあるのかもしれないけど。
ストーリーも陰鬱な感じでちょっとアレだった。マザーって、こんな「恨み」や「憎しみ」を心に貯めるゲームだったろうか……。

以下ネタバレ感想。

マザー3のストーリーで一番引っかかったのは、シナリオ面、特に父と母の存在。
これまでのマザーシリーズでの父と母は、ストーリーには直接は関わらないものの、主人公を常に見守る存在として描かれてました。いつも家にいて、好物を作って主人公を迎えてくれる母、姿は現さないものの、セーブの時には必ず話しかける父親。彼らは主人公が世界の運命を背負っているとは知らないまま、普通の両親として主人公に接してくる。
しかし、だからこそ、2でメロディを揃えたときの演出が光ってくると思うし、遙か過去での何気ない「風邪でもひいたのか?」でグッと来るんだと。
その両親の存在が、マザー3では逆転していて、彼らはストーリーに直接関わってくる代わりに、ゲームプレイのほとんどの時間を不在で通す。冒頭で殺害される母しかり、最初と最後しかほとんど登場しない父しかり。そのおかげで、主人公が家に帰ってもいつも誰もいず、家族との絆を感じるシーンはほとんど存在しない。しかも、主人公と両親が絡むシーンはほとんど強制イベントのシーンなので、「出しゃばってくる割には印象が浅くて感情移入出来ない」というイメージになってるし。
それは最初の母死亡を知らされるシーンからそう。名前を付けたばかりで、2、3言しか会話していないキャラがいきなり殺されて、いかにも悲しそうな演出をされても、理性では醒めたまま。また、終盤父親が駆けつけるシーンでも、それまで主人公を放っておいたくせに、急に現れてそれらしいことを言われても、という感想が先に立っちゃってどうも。
これが一番気になったところで、この点さえ何とかなっていれば、マザー3に対するイメージもだいぶ変わってきたと思うんだけど……。
他にも父とサルがプレイヤーキャラになる割にはストーリーに絡んでこなかったり、性能的にもキャラ的にも弱い犬が最後までついてきたりと、キャラ関係は総じて弱い感じ。

メインストーリーとしては、小さな島の中の話なので、いろいろなところへ行って冒険している感じはあんまりない。マザーの風物詩の電車も1回くらいしか乗らないし、駅も2つしかないし。
デパートやATMもないというか、中盤まで買い物という概念自体がない。謎の通貨DP(ドラゴンパワー)が発行されてからも、店らしい店はなくて、ほとんど自動販売機か、なぜかオケラから買うという仕組み。金自体も、電話が廃止されたので、なぜかセーブと兼用のカエルに話しかけて預け下ろしするというのがもう全然わからない。笑うところなんだろうか。しかも買い物するところにはほぼ100%カエルがいるので(カエルの配置は異常と思えるくらい多い)、「預ける」というシステムが不明。持ち歩く必要全くない。変なところだけ過去のマザーを引きずっているような。
ストーリー自体は可も不可もなく。終盤の展開も急ぎすぎてるし、内容自体も今となっては陳腐。ラストバトルにも、1や2のような工夫もない。ひたすら自動で起こるイベントを消化するだけ。

グラフィックは、1、2の建物の横のラインが斜めに見えるのを廃止してしまったのがすごく残念。あれによってマザーの個性が際だっていたし、街などのデザインが立体的に見えてきていたと思うので。ドット絵自体もちょっと風合いが落ちる印象。まあ、ごく普通のGBAゲームという感じ。

戦闘は、ドラムロールとサウンドバトルが独自の点だけど、どっちもあまり評価してません。
ドラムロールは結局システムを生かすためには長い時間回り続ける大ダメージ(ほとんどが即死ダメージ)が必要だし、早く回復するためにイライラしながら演出やメッセージを飛ばすのはなんか違う気がする。まあ、1作品でやるくらなら良いけど、わざわざ継承するほどのものかな、という印象。
サウンドバトルはタイミングがやけにシビアな上、敵によって難易度が全然違うので(敵の強さとは関係なく)、使える敵は単調になって、使えない敵はむやみに連打になりがち。悪い、とまでは思わないけど、あまりいいシステムとも思わず。

ユーザーインターフェース周りはイマイチ。スタートボタンでメニューを呼び出すのはあまり良いやり方とは思えないし(どの機種もたいてい押しづらいところにあるし)、メニュー内に入っても、キャラ選択がLRだったり方向キー上下だったりと整頓されてない。PSIの選択も、多くの人が指摘しているとおり、2より劣化しているのが最大の欠点(2では上下でPSIの種類、左右で効果レベル選択。3は全て上下に長く並んでいる)。ドラムロール式の戦闘では、この選択方法は致命的では。

マザーのキモとも言える音楽は、まあ良くも悪くもなく。終わってみて、良い意味で心に残る音楽がなかったのは残念。サウンドバトルのせいで戦闘音楽はしばらく耳に残ってましたが……。


総じてみると、マザー1、2と比べていろいろなところが変わりすぎているのに、変なところで前作を引っ張っている(特に終盤のポーキー絡み)ので、かえってそこが鼻についているという感想でした。
切るなら切る、残すなら残すとしてもらって、スッキリした形にしてもらえれば良かったなあ、と。

だいすけ評価は4/10点。

投稿者 だいすけ : 2006年05月11日 14:53 ゲームレビュー /etc.

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.dice-k00.com/mt/mt-tb.cgi/1122

コメント

父が途中で旅にくわわると思いきや、そのまま物語終了・・・・
さるが出できた意味もわからないし、とにかく残念・・・
物語中盤でこれは前作のがおもしろいと思った。

ラストも不発・・・・・
買い物する所があまりなく、ドラゴンパワー余りまくった。
ラスボスとはちゃんと戦いたかった。
父が出できたけど、それが?って感じ。

柴咲コウにだまされた・・・・・・
スーファミ故障してるからアドバンスのマザー1.2買おうかな・・・

投稿者 Anonymous : 2006年05月16日 12:27

そうですね……。
キャラが多い割には描写が薄いのが一番残念な点ですね。
主要キャラもそうですが、タツマイリの人たちも、中盤からフェードアウト気味ですし。

GBAのMOTHER1+2は、1の戦闘で、自分の攻撃と敵の攻撃の効果音が逆だったりと変なところもあるんですが、海外版の移植なので、終盤の展開がちょっと追加されてたりとお得感も高いのでオススメです。

投稿者 だいすけ : 2006年05月17日 02:25

いろいろなマザー3の感想をさがして読んでみましたが、ここの感想が一番わたしの感想に近かったです。
EDには呆然としました。

後半の唐突さや、ポーキーは森を燃やして何がしたかったのか、森を燃やした張本人たちを、村人がなんの抵抗もなく受け入れる(どころか同調している)のもよくわからないです。

そして闇のドラゴンなんて物語的にはいらないような・・・
歌をあつめるのは意味不明ながらもイベントなどが心をうつものだったのに、7本の針を抜いたものが云々という設定はあまりにもオーソドックスでは・・・?
オーソドックスを打ち破るのかというと、そういうことも無くそのままおわってしまいw
一番いらない感じだったのがリダの語る世界の本当の姿。

タイマツリ村とその人々に思い入れが相当強くないと
「突然そんなこといわれても・・」という感じで
どうという衝撃もありませんでした。

仮面の男の正体にしたって、出てきたその瞬間から
大方のひとは正体が推測できるわけで(笑)、どちらかというと
なぜそんなことになってしまったのか?という方が
プレイヤーの疑問点だとおもうんですが
そこも特になんのヒネリもなく、そのまんま改造されてました
みたいな感じで拍子抜けです。

はっきりと語らないだけなのかもしれませんが、
兄は1章で死んでいて、改造したために人間性は失われていたがかろうじて生命としては活動していた、ということなんですかね。
ただそうすると兄の針をぬけるという能力をポーキーは知っていたのでしょうか??
そのへんの理由付けが弱くてよくわかりません。

ぶちまける相手と場所が無くて長々とかいてしまいました・・

投稿者 さや : 2006年05月23日 10:49

こんばんは。

そうですね~。64で開発していたときは全12章だったという話もありますし、もしかしたらGBA版で全8章にするにあたって削ったことで、そういう描写がなくなってしまったのかもしれませんね。実際のところはどうかはわかりませんが……。
やっぱりRPGというのは、そういう人物描写であったり、伏線の積み重ねと回収の仕方であったりがキモになってくると思うんですが、そういうのが、どういう事情があったにせよおろそかになってしまったのは非常に残念と言わざるを得ません。

やろうとしていたことはわからないでもないんですが、なんというか、惜しいですね……。

投稿者 だいすけ : 2006年05月24日 03:11

すごい同感です…

途中での「便利な世の中への反抗」
みたいなテイストも宗教チックですごく嫌でした。


場面の変わり目に長文のメッセージが多く
全体的に押し付けがましい印象を受けました。

1、2が大好きだっただけに
ちょっと残念な気がしてしまいました。

投稿者 なみ : 2006年05月24日 05:22

だいすけさん、こんにちは

「しあわせの箱」の有害さ(?)などについても
漠然と不気味なものとしてしか描かれませんでしたね。

田舎の「周りはみんな家族」みたいな純朴だった人たちが
テレビ(あるいはパソコン?)に夢中になって人と人との関係に無関心になるという
都会の病理がテーマっぽいんですが、それもちょっと(開発期間の長さのせいもあってか)若干古くさいテーマで
ちょっと陳腐な感じがしました。

ゲームを家の中で(GBAになってしまったので外かもしれませんが 笑)やっているプレイヤーへの
なんか警鐘ぽいものなのかな?

でも基本的にマザーのシリーズは
カタルシスのないストーリーですよねw
ボスを叩きのめすことはできないし。

死と言う描写を避けていた1・2ならともかく
3では冒頭から母の死が描かれるのに
ポーキーは死にませんし・・・

マザー3は細部だけ見ていると
とても良いゲームなんで面白いんですけど
俯瞰してみるとイマイチっていう感想でした。

投稿者 さや : 2006年05月24日 15:42

>なみさん
そうですねえ。「幸せの箱」関連のイベントは、安易な文明批判っぽくてちょっと違和感を感じました。

3は1や2に比べて直接的なメッセージが多いような気がしますね。それが押しつけがましく感じられてしまうと、どうしてもゲームに入り込めなくなってしまうんですよね……。

>さやさん
今回のマザー3では、何となく糸井氏から「ゲームなんか止めなよ」的なメッセージが出されているような感じがして、それはまあいいとしても、それをゲームで表現しないでほしかったなあと思いました。単に思いこみかもしれませんが……。

個々のパーツがしっくりかみ合わない感じがするのは、64時代からの構想を切ったはったしたせいかもしれませんね。例の12章立てだったという話がほんとうなら。
12年も待たせたのだから、急ごしらえの(ように見える)ものを出してほしくはなかったですが。

投稿者 だいすけ : 2006年05月26日 01:18

けっこう辛口ですね
わたしは このストーリーにすごい感動して号泣しました
けっこう細かいこと指摘してますけど
そんなの関係ないと思います
私は純粋によかったと思ってます

投稿者 特命係 : 2009年03月14日 13:46

この感想は、あくまで私の感想なので、それを他人に押しつける気は全然ないです。
そもそも自分の意見が少数派だということは十分理解してますし。

特命係さんが良かったと思ったゲームに対して私が良く書けないのは残念ですし、申し訳ないとも思いますが、こういう意見もある、程度にでも思ってもらえると助かります。

投稿者 だいすけ : 2009年03月15日 10:35

コメントしてください




保存しますか?